2026年5月、カリフォルニア州のディズニーランドにおいて、新しく導入された顔認証技術に対する集団訴訟が提起されました。
この訴訟は、ディズニーがゲストのプライバシー権と消費者保護法に違反していると主張し、少なくとも500万ドルの損害賠償を求めています。
顔認証技術導入の経緯
ディズニーランド・パークとディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークでは、2026年4月から入場ゲートに新しい顔認証システムが導入されました。
この技術は「パークへの再入場を容易にし、不正行為を防ぐ」ことを目的としており、入場時に撮影された画像がチケットやパスの初回使用時に撮影された画像と照合される仕組みです。
顔認証システムの仕組み
- 入場時に撮影された画像をチケット登録時の画像と照合
- 画像は「固有の数値」に変換されて処理される
- データは作成から30日以内に削除される(法的・不正防止目的の場合を除く)
ディズニーによると、この顔認証システムへの参加は任意とされており、顔認証を使用しない入場レーンも用意されているということです。
集団訴訟の詳細
ニューヨークを拠点とする弁護士ブレイク・ハンター・ヤグマン氏が、カリフォルニア州の親であるサマー・クリスティーン・ダフィールド氏を代表して訴訟を提起しました。
ダフィールド氏は先週、お子さんと一緒にディズニーランドとディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー・パークを訪問していました。
訴訟の主な争点
- ディズニーが生体認証データの収集について適切に開示していない
- 子どもを含む消費者が機密性の高いデータが収集されていることを認識していない
- オプトアウト(利用拒否)の方法が不明確で見落としやすい
訴状によると、顔認証を回避するための別の入場口は「非常に見落としやすく」、案内標識は「不明確」で、頭と肩のシルエットにスラッシュが入った記号だけでは意味のある選択肢を示していないとされています。
ディズニー側の対応
ディズニーランド・リゾートの広報担当者は、The Hill紙の取材に対して次のように述べています。
私たちはゲストの個人情報を尊重し保護しており、原告の主張に異議を申し立てます。これらの主張には根拠がないと考えています。—— ディズニーランド・リゾート広報担当者
ディズニー側は、参加が任意であることを強調し、顔認証を使用しない入場レーンではスタッフが手動でチケットを確認する体制を整えていると説明しています。
プライバシー保護の課題
この訴訟では、生体認証情報が個人の身元や記録(クレジットカードや政府発行のIDなど)と簡単に関連付けられる点が問題視されています。
もしデータが侵害された場合、貴重なデータパッケージが詐欺に悪用される可能性があるという懸念が示されています。
弁護士の見解
ヤグマン弁護士は訴状の中で、次のような見解を示しています。
ゲストは、このような機密性の高い顔認証技術に対して、書面による同意をもって明示的にオプトインできるべきです。プライバシー権の責任は被害者にあるべきではありません。—— ブレイク・ハンター・ヤグマン弁護士
この主張は、テクノロジー企業が新技術を導入する際の同意取得のあり方について、重要な問題提起をしています。
今後の展望
この集団訴訟は、テーマパーク業界におけるプライバシー保護と利便性のバランスについて重要な先例となる可能性があります。
ディズニーのような大規模なエンターテイメント企業が顔認証技術を導入する際の法的な枠組みや、消費者の同意取得方法について、今後の判決が業界全体に影響を与えることが予想されます。
カリフォルニア・ディズニーランドの顔認証システムに対する集団訴訟は、現代のテーマパーク体験における技術革新とプライバシー保護の難しいバランスを浮き彫りにしています。この訴訟の結果は、今後のテーマパーク業界の技術導入方針に大きな影響を与える可能性があり、ゲストの権利保護という観点から注目が集まっています。
cbc.ca

