
ディズニーが今後10年間で600億ドル(約9兆円)もの巨額資本をDisney Experiences部門へ投じると発表したとき、世界中のテーマパークファンは固唾をのんで続報を待ちました。
そのなかで特にインターネットを騒がせているのが、上海ディズニーリゾートを舞台にした「第2テーマパーク構想」の噂です。コードネーム「Project Atlas」と呼ばれるこの未確認プロジェクトについて、現時点でわかっていることをすべて整理してお伝えします。
本記事で扱う情報の大部分は、ファンフォーラムやSNS上に流出した未確認のリーク情報に基づいています。Disneyは本計画について一切公式発表を行っていません。最新の公式情報は必ずShanghai Disney Resort公式サイトでご確認ください。
噂の発端——「Project Atlas」とは何か

騒動の発端は、XやRedditといったプラットフォームに流出した「Walt Disney Imagineering(WDI)内部文書」と称する画像群でした。
流出した情報によると、現在の上海ディズニーランドの東側に隣接する広大な土地——かつてラベンダー畑として使用されていたエリア——が、商業用途・交通ハブ・駐車場として都市計画上の再分類を受けたとされています。
さらにファンの興奮を最高潮に引き上げたのが、緑豊かな丘陵地帯に建つ未来的なジオデシックドームを描いたコンセプトアートの存在です。フロリダのEPCOTを象徴する「Spaceship Earth」を彷彿とさせるこのビジュアルから、ネット上ではこの構想が「EPCOT 2.0」と呼ばれるようになりました。
「Project Atlas」とは、上海ディズニーリゾートへの第2テーマパーク建設を示唆するとされる未確認のプロジェクトコードネームです。Disneyは現時点で一切の公式コメントを出していません。
揺れるコンセプト——EPCOTから「アドベンチャーパーク」へ

テーマパーク業界の噂というものは、一夜にして様相が一変することがあります。「アジアに21世紀型のサイエンス・テクノロジーパークが誕生するかもしれない」という議論が盛り上がったかと思えば、まったく正反対の情報が飛び込んできました。
業界内から漏れ伝わる最新の憶測によれば、もしDisneyがこの地域にEPCOTスタイルの教育型パークを検討していたとしても、その構想はすでに白紙に戻された可能性があるというのです。
代わりに浮上しているのが、ジェームズ・キャメロンの『アバター』のような大型IPを軸にした「アドベンチャー型」の第2パーク構想です。これはパリのWalt Disney Studios Parkが「Disney Adventure World」へと再ブランディングされた流れとも一致しており、Disneyが世界規模でアドベンチャー路線を強化しているという見方を裏付けています。
パリでは2025年に「Walt Disney Studios Park」が「Disney Adventure World」へ改称。Disneyが大型IPを活用したアドベンチャーテーマのパーク展開に注力していることがうかがえます。
ボブ・ワイスの回顧録が語る、幻の第2パーク構想

実は「上海に第2パーク」という発想は、まったく根拠のない話ではありません。元Walt Disney Imagineering社長、ボブ・ワイス氏の回顧録『Dream Chasing: My Four Decades of Success and Failure with Walt Disney Imagineering』には、驚くべき事実が記されています。
それによれば、上海リゾートの開発初期段階において、第2パークのコンセプトがすでに社内で具体的に検討されていたというのです。
「当初、熱心な方向性は第2パークの開発に向けられていた。最初のパークを補完し、リゾート全体を飛躍的に拡張するものとして。チームは非常に創造的な、新しいタイプのパークを提案した……自然、文化、芸術の要素を取り入れたものを。」—— ボブ・ワイス(元WDI社長)、『Dream Chasing』より
ワイス氏の回顧録によれば、この芸術・自然志向のコンセプトは社内ステークホルダーやDisney幹部から極めて稀なスタンディングオベーションを受けたとされています。
しかし会社は、開業したばかりのリゾートには時期尚早だと判断。その膨大な創造的リソースを第2パークではなく、現在のパーク内に高度に没入型のズートピアランドを建設することへと振り向けたのです。

かつてスタンディングオベーションを受けた構想が実在していたという事実が、今回のリーク情報に一定の説得力を与えているのは確かです。ただし、イマジニアの言葉を借りれば、「Blue Sky」段階のコンセプトは常に流動的なもの。十年前のアイデアが、着工の日を迎えるころには別物になっていることなど珍しくありません。
グローバル展開の複雑な方程式——アブダビとの綱引き

第2パークの噂を慎重に受け止めるべき理由がもう一つあります。Disney Experiencesは現在、世界規模で複雑なポートフォリオのバランスを取っています。
中東ではDisneyland Abu Dhabiプロジェクトがすでに進行中であり、上海での第2ゲート建設と中東の新リゾート開発を同時並行で進めることは、Walt Disney Imagineering(WDI)の創造的・技術的・経営的リソースを極限まで圧迫することになります。
600億ドルという巨大な資本プールを持っていても、Disneyは上海においてShanghai Shendi Groupのような国営投資パートナーとのリスク分担を前提に動いています。複数の数十億ドル規模の国際契約を同時に調整することは、市場確実性なしに経営陣が踏み切れる決断ではないのです。
Disneyが公式に確認している拡張プロジェクト

噂とファクトを切り分けるために、Disney公認の近未来計画を整理しておきましょう。投資家向け説明会で経営陣が明示した上海ディズニーリゾートの正式な拡張方針には、第2テーマパークの言及はありませんでした。
現在公式に確認されているプロジェクトは以下の通りです。
- スパイダーマン・スリルコースター——パーク初の本格的マーベルIPを擁するスーパーヒーローランドとして開発中
- 「ソアリン:オーバー・ザ・ホライゾン」の収容人数拡大——圧倒的な入場者数を受けたキャパシティ強化策
- 第4リゾートホテル——アール・ヌーヴォー建築をインスピレーションとした高級ホテルを現在建設中

| プロジェクト | ステータス |
|---|---|
| 第4リゾートホテル(アール・ヌーヴォー) | 公式確認済・建設中 |
| スパイダーマン・スリルコースター | 公式確認済・開発中 |
| ソアリン収容人数拡大 | 公式確認済・開発中 |
| Project Atlas(第2パーク) | 未確認・憶測の域を出ず |
まとめ——現時点での「真相」
上海ディズニーランドへの第2パーク構想「Project Atlas」は、現時点ではあくまでも未確認の噂です。ボブ・ワイス氏の回顧録が示すように、かつて社内で本格的な構想が存在したことは事実ですが、Disneyは一切の公式発表を行っていません。近い将来に公式確認される可能性はゼロではないものの、スパイダーマンアトラクション・新ホテル・ソアリン拡張の3つが現在の優先課題であることは明らかです。第2パークの「青写真」は、まだ消えるインクで書かれた段階にあります。
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