Dream Journal
   
魔法の世界へようこそ!
park

呪われた金貨の海賊が”生きた骸骨”に—POTCが静かに進化した

2026年6月26日、ディズニーランド(アナハイム)の「パイレーツ・オブ・カリビアン」が、約2か月に及ぶリフレッシュを経てリオープンしました。

そのリオープンに合わせて公開されたのが、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングが手がけた全く新しい変形型オーディオ・アニマトロニクスの存在です。宝の山の上に座るあの骸骨海賊が、まったく別次元の存在へと生まれ変わりました。


ディズニーランドのパイレーツに何が起きたのか

パイレーツ・オブ・カリビアンの新アニマトロニクス——人間の顔から骸骨へと変容する前後の比較
wdwnt.com / © Disney

パイレーツ・オブ・カリビアンといえば、乗り物の終盤に現れる宝の山の上の骸骨海賊が象徴的な存在です。長年にわたりゲストを迎えてきたそのアニマトロニクスが、2026年のリフレッシュを経て、「変形する」アニマトロニクスとして新たな姿を見せるようになりました。

今回の変更でとくに注目を集めているのは、生きた人間の顔が骸骨へと変化するという、これまでのアニマトロニクス技術の常識を超えた演出です。カットや暗転といった「ごまかし」は一切なく、リアルタイムに顔が変容するさまを目の当たりにすることができます。

宝の山の海賊アニマトロニクスは、ディズニーランドのパイレーツ・オブ・カリビアンを象徴する存在。台座近くには、アトラクションのコンセプトを手がけたディズニー・レジェンド、マーク・デイヴィスの肖像画も描かれています。


変形アニマトロニクスの技術的な仕組み

Tech Radarがウォルト・ディズニー・イマジニアリングのR&Dラボにて独占取材を行い、その技術の詳細が明らかになりました。

アニマトロニクスのボディ部分は従来のクラシック技術を踏襲しつつ、顔の部分には3Dプリントで成形されたシェル(外殻)が採用されています。見た目には可動パーツが一切存在しないにもかかわらず、顔の表情は変化し続けます。

その秘密は、高精度なプロジェクション・マッピングシステムにあります。顔の表面に映像を精緻に投影することで、人間の顔から骸骨へのシームレスな変容を実現しているのです。

宝の山の上で呪われた金貨を手に持つ海賊アニマトロニクス(人間の顔の状態)
wdwnt.com / © Disney

語られるストーリー——呪われた海賊の物語

技術の革新もさることながら、この新しいアニマトロニクスがより心に響くのは、そこに明確な「物語」が宿っているからです。

ウォルト・ディズニー・イマジニアリングが公開した映像によれば、この海賊は呪われた金貨を拾い上げたことで時間の中に凍りついてしまいます。やがてコインを手放すことで呪いは解け、束の間の自由を取り戻します。しかし——その欲望に抗えず、再び金貨へと目を向けた瞬間、海賊はふたたび凍りつき、永遠のループに囚われることになるのです。

この物語の構造は、ディズニーの語り口の本質を体現しています。欲望と呪い、そして繰り返されるループ——短い乗船時間の中に、ゲストの記憶に残る物語が刻み込まれています。

宝の山の上で骸骨の顔に変容した海賊アニマトロニクス(スケルトン状態)
wdwnt.com / © Disney

宝の山のふもとには、アトラクションのコンセプトを手がけたディズニー・レジェンド、マーク・デイヴィスを海賊の姿で描いた絵画が添えられています。長年このアトラクションを愛してきたファンにとっては、見逃せない細部です。


Epic GamesとUnreal Engine 5との協業

この変形アニマトロニクスの実現には、Epic Gamesとの協業が欠かせませんでした。

ゲームエンジンとして世界的に知られるUnreal Engine 5が、アニマトロニクスが動く際のリアルタイム・プロジェクション・マッピングに活用されています。フィギュアの動きに完全に同期した映像処理を行うことで、どの角度から見ても自然な変容が実現されています。

ゲーム開発の最前線で培われたリアルタイムCG技術が、テーマパークのアトラクション演出に融合されたことは、エンターテインメント産業における新たな地平を示しています。


イマジニアが語る「技術ではなく物語のために」

Walt Disney Imagineering Research & DevelopmentのExecutive R&D Imagineer、レスリー・エヴァンス氏は、今回のアニマトロニクスに込めた想いをこう語りました。

アニマトロニクス技術、リアルタイム・ゲームエンジン、そして高品質なCGアセット——これらすべてが揃ったとき、私たちは「これは本物だ」と確信しました。—— Leslie Evans, Executive R&D Imagineer, Walt Disney Imagineering R&D

また、技術そのものを目的化することへの戒めとして、エヴァンス氏はこうも述べています。

私たちは技術のために技術を作るのではありません。すべては、ゲストに素晴らしい物語を届けるためです。—— Leslie Evans, Executive R&D Imagineer, Walt Disney Imagineering R&D

パイレーツ・オブ・カリビアンがこの新技術の最初の舞台として選ばれた理由は、「変容」という演出を最も自然かつ劇的に表現できるフィギュアがここにあったからだとエヴァンス氏は説明しています。

技術の進化はあくまでも手段であり、目的はゲストの心を動かすこと——その姿勢は、ウォルト・ディズニーがアニマトロニクスを生み出した当時から変わらぬイマジニアリングの精神を感じさせます。

【まとめ】ディズニーランドのパイレーツ・オブ・カリビアンに、全く新しい「変形型オーディオ・アニマトロニクス」が登場。3Dプリントのフェイスシェルと高精度プロジェクション・マッピング、そしてEpic GamesのUnreal Engine 5を組み合わせることで、海賊の顔が人間から骸骨へとシームレスに変容する演出を実現。呪われた金貨に囚われた海賊の物語を、カット一切なしで体験できます。2026年6月26日(金)よりリオープン。

EDITOR’S VOICE
長年見慣れたあの骸骨海賊が、まさかここまで進化するとは想像もしていませんでした。技術の刷新に感動しつつも、「物語のために」という一言に、イマジニアリングの本質を改めて感じた発表でした。
REFERENCE本記事の作成にあたり、以下の記事を参考にさせていただきました。
wdwnt.com
ドリームジャーナル編集部 S
ドリームジャーナル編集部 S
東京・海外パーク合わせて通算500回以上、世界6つのディズニーリゾートを制覇したディズニーフリーク。パークの空気感、限定グッズの魅力、映画の深い考察まで、大人のディズニーの楽しみ方をお届けします。
← PREV
Disney+「Behind the Attraction」S3|クルーズライン特集2エピソード解説
NEXT →
ディズニー新アトラクション19選|世界6パークの最新拡張計画まとめ